刑訴法第321条第3項と実況見分調書
(昭和35年9月8日最高裁)
事件番号 昭和35(あ)887
この裁判では、
刑訴法第321条第3項と実況見分調書について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
上告趣意第一点は違憲をいうが、記録を精査するに、
所論供述中実況見分調書における
供述記載は証拠とされたものとは認められないし、
またその余の供述が所論のように
任意性を妨げられたものであることを確認するに足る
何らの資料もないから所論はその前提を欠くものであり、
同第二点は違憲をいうが、原判決の是認した
第一審判決は所論各供述調書の外に
挙示の補強証拠を掲げているのであるから、
所論はその前提を欠くものであり
(右補強証拠が所論過失の点に直接触れていなくとも、
所論自白にかかる事実の真実性を保障するに十分であるから、
補強証拠として欠けるところないものと認められる。
なお、自白を補強すべき証拠は必ずしも
自白にかかる犯罪事実の全部にわたって
洩れなくこれを裏付けるものであることを必要とせず、
自白にかかる事実の真実性を
保障し得るものであれば足る旨の
当裁判所第三小法廷昭和25年10月10日宣告の判決、
刑集4巻10号1959頁参照)
従って、以上はいずれも
刑訴405条の上告理由に当らない。
同第三点は、原審で主張判断のない事項に
関するものであるばかりでなく、
刑訴321条3項所定の書面には捜査機関が
任意処分として行う検証の結果を記載した
いわゆる実況見分調書も包含するものと解するを相当とし、
かく解したからといって同条項の規定が
憲法37条2項前段に違反するものでないことは
当裁判所大法廷判例(昭和24年5月18日宣告刑集3巻6号789頁参照)
に照らし明かであるから、原判決には
所論憲法の解釈を誤ったかきんありとは云えは云えず、
所論は採用できない。
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