捜査官が被害者や被疑者に被害・犯行状況を再現させた結果を記録した実況見分調書

(平成17年9月27日最高裁)

事件番号  平成17(あ)684

 

この裁判では、

捜査官が被害者や被疑者に被害・犯行状況を

再現させた結果を記録した実況見分調書について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

本件両書証は,捜査官が,被害者や被疑者の

供述内容を明確にすることを主たる目的にして,

これらの者に被害・犯行状況について

再現させた結果を記録したものと認められ,

立証趣旨が「被害再現状況」,「犯行再現状況」とされていても,

実質においては,再現されたとおりの犯罪事実の存在が

要証事実になるものと解される

 

このような内容の実況見分調書や

写真撮影報告書等の証拠能力については,

刑訴法326条の同意が得られない場合には,

同法321条3項所定の要件を満たす必要があることはもとより,

再現者の供述の録取部分及び写真については,

再現者が被告人以外の者である場合には

同法321条1項2号ないし3号所定の,

被告人である場合には同法322条1項所定の要件を

満たす必要があるというべきである。

 

もっとも,写真については,撮影,現像等の記録の過程が

機械的操作によってなされることから前記各要件のうち

再現者の署名押印は不要と解される

 

本件両書証は,いずれも刑訴法321条3項所定の要件は

満たしているものの,各再現者の供述録取部分については,

いずれも再現者の署名押印を欠くため,

その余の要件を検討するまでもなく証拠能力を有しない

 

また,本件写真撮影報告書中の写真は,

記録上被告人が任意に犯行再現を行ったと認められるから,

証拠能力を有するが,本件実況見分調書中の写真は,

署名押印を除く刑訴法321条1項3号所定の要件を満たしていないから,

証拠能力を有しない

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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