無罪判決を受けた被告人の勾留

(平成19年12月13日最高裁)

事件番号  平成19(し)369

 

この裁判では、

無罪判決を受けた被告人の勾留について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

第1審裁判所において被告人が犯罪の証明がないことを理由として

無罪判決を受けた場合であっても,控訴裁判所は,

その審理の段階を問わず,職権により,

その被告人を勾留することが許され,必ずしも

新たな証拠の取調べを必要とするものではないことは,

当裁判所の判例(最高裁平成12年(し)第94号同年6月27日

第一小法廷決定・刑集54巻5号461頁)が示すとおりである。

 

しかし,刑訴法345条は,

無罪等の一定の裁判の告知があったときには

勾留状が失効する旨規定しており,特に,

無罪判決があったときには,本来,無罪推定を受けるべき被告人に対し,

未確定とはいえ,無罪の判断が示されたという事実を尊重し,

それ以上の被告人の拘束を許さないこととしたものと解されるから,

被告人が無罪判決を受けた場合においては,

同法60条1項にいう

「被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」

の有無の判断は,無罪判決の存在を十分に踏まえて

慎重になされなければならず,嫌疑の程度としては,

第1審段階におけるものよりも強いものが

要求されると解するのが相当である。

 

そして,このように解しても,

上記判例の趣旨を敷えんする範囲内のものであって,

これと抵触するものではないというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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