裁量保釈と抗告
(平成26年11月18日最高裁)
事件番号 平成26(し)560
この裁判では、
受訴裁判所によってされた刑訴法90条による
保釈の判断に対する抗告審の審査の方法について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
抗告審は,原決定の当否を事後的に審査するものであり,
被告人を保釈するかどうかの判断が現に審理を担当している
裁判所の裁量に委ねられていること(刑訴法90条)に鑑みれば,
抗告審としては,受訴裁判所の判断が,
委ねられた裁量の範囲を逸脱していないかどうか,すなわち,
不合理でないかどうかを審査すべきであり,
受訴裁判所の判断を覆す場合には,
その判断が不合理であることを
具体的に示す必要があるというべきである。
しかるに,原決定は,これまでの公判審理の経過及び
罪証隠滅のおそれの程度を勘案してなされたとみられる
原々審の判断が不合理であることを具体的に示していない。
本件の審理経過等に鑑みると,保証金額を300万円とし,
共犯者その他の関係者との接触禁止等の条件を付した上で
被告人の保釈を許可した原々審の判断が
不合理であるとはいえないのであって,
このように不合理とはいえない原々決定を,
裁量の範囲を超えたものとして取り消し,
保釈請求を却下した原決定には,
刑訴法90条,426条の解釈適用を誤った違法があり,
これが決定に影響を及ぼし,原決定を取り消さなければ
著しく正義に反するものと認められる。
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