トンネル内でのケーブルからの火災(予見可能性)
平成12年12月20日最高裁
事件番号 平成10(あ)579
近畿日本鉄道東大阪線生駒トンネル内における
電力ケーブルの接続工事に際し、
施工資格を有してその工事に当たったXが、
ケーブルに特別高圧電流が流れる場合に発生する
誘起電流を接地するための
大小二種類の接地銅板のうちの一種類を
Y分岐接続器に取り付けるのを怠ったため、
右誘起電流が、大地に流されずに、
本来流れるべきでないY分岐接続器本体の半導電層部に流れて
炭化導電路を形成し、長期間にわたり同部分に集中して流れ続けたことにより、
火災が発生し、電車がトンネル内を通過した際に
乗客らが、有害ガスを吸引し、1人が死亡、43名が傷害を負いました。
なお、本件火災の発生に至った炭化導電路の形成という現象は、
本件以前には報告されたことのない例でした。
最高裁判所の見解
右事実関係の下においては、Xは、
右のような炭化導電路が形成されるという経過を
具体的に予見することはできなかったとしても、
右誘起電流が大地に流されずに本来流れるべきでない部分に
長期間にわたり流れ続けることによって火災の発生に至る
可能性があることを予見することはできたものというべきである。
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