強盗罪の要件の「暴行脅迫」
(昭和23年11月18日最高裁)
事件番号 昭和23(れ)795
原審で刑法第236条第1項の強盜罪が適用され、
弁護人が同法第249条の恐喝罪が成立するにとどまると主張し、
最高裁が強盗罪の要件の「暴行脅迫」について判断を示しました。
最高裁判所の見解
強盗罪の成立には被告人が社会通念上
被害者の反抗を抑圧するに足る暴行又は脅迫を加え、
それに因って被害者から財物を強取した事実が存すれば足りるのであって
所論のごとく被害者が被告人の暴行脅迫に因って
その精神及び身体の自由を完全に制圧されることを必要としない。
そして原審は論旨摘録のように被告人等が判示午前1時頃屋内に侵入し
被告人A及び右Bはそれぞれ草刈鎌を被告人Cはナイフを被害者D等に突付け
交々「静にしろ」「金を出せ」等言って脅迫し同人を畏怖させ
その所有の現金3,170円、腕時計、懐中時計、ライター等40数点を強奪しと
判示して被告人等が社会通念上被害者の反抗を抑圧するに足る脅迫を加え、
これに因って被害者が畏怖した事実をも明に説示して
手段たる脅迫と財物の強取との間に因果関係の存することをも認定しているから、
これに対し刑法第249条を適用せずに
同法第236条第1項を適用したのは正当であって、
原判決には所論のように法律の適用を誤った違反はない。
論旨は理由がない。
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