死者を隠避させる行為と犯人隠避罪

(平成17年8月18日札幌高裁)

事件番号  平成17(う)123

 

この裁判では、刑法103条の犯人隠避罪の

「罪を犯した者」に死者を含むかどうかについて

裁判所が見解を示しました。

 

裁判所の見解

刑法103条は , 捜査 ,審判及び刑の執行等広義における

刑事司法の作用を妨害する者を

処罰しようとする趣旨の規定で あ る 。

 

そして , 捜査機関に誰が犯人か分かっていない段階で ,

捜査機関に対して自ら犯人である旨虚偽の事実を申告した場合には ,

それが犯人の発見を妨げる行為として捜査という刑事司法作用を妨害し ,

同条にいう「 隠避 」に当たることは 明らかであり ,

そうとすれば ,犯人が死者であってもこの点に変わりはないと解される 。

 

なるほど , 無罪や免訴の確定判決があった者などは ,

これを隠避しても同条によって処罰されないが ,

このような者はすでに法律上訴追又は処罰される可能性を完全に喪失し,

捜査の必要性もなくなっているから ,

このような者を隠避しても何ら刑事司法作用を

妨害するおそれがないのに対し ,本件のような死者の場合には ,上記のとおり ,

なおそのおそれがあることに照らす と ,

同条にいう「罪を犯した者」には死者も含むと解すべきである 。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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