現住建造物等放火罪
(平成29年12月19日最高裁)
事件番号 平成28(あ)190
この裁判では、
現住建造物等放火罪に該当する行為により生じた人の死傷結果を,
その法定刑の枠内で,量刑上考慮することは許されるかについて
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
放火罪は,火力によって不特定又は多数の者の生命,身体及び
財産に対する危険を惹起することを内容とする罪であり,
人の死傷結果は,それ自体犯罪の
構成要件要素とはされていないものの,
上記危険の内容として
本来想定されている範囲に含まれるものである。
とりわけ現住建造物等放火罪においては,現に人が住居に
使用し又は現に人がいる建造物,汽車,電車,艦船又は
鉱坑を客体とするものであるから,類型的に人が
死傷する結果が発生する相当程度の蓋然性があるといえるところ,
その法定刑が死刑を含む重いものとされており,
上記危険が現実に人が死傷する結果として生じた場合について,
他により重く処罰する特別な犯罪類型が
設けられていないことからすれば,
同罪の量刑において,かかる人の死傷結果を考慮することは,
法律上当然に予定されているものと解される。
したがって,現住建造物等放火罪に該当する行為により
生じた人の死傷結果を,その法定刑の枠内で,
量刑上考慮することは許されるというべきである。
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