街頭募金詐欺(包括一罪か併合罪か)
(平成22年3月17日最高裁)
事件番号 平成21(あ)178
この裁判では、
街頭募金詐欺が包括一罪となるか併合罪となるかについて
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
この犯行は,偽装の募金活動を主宰する被告人が,
約2か月間にわたり,アルバイトとして
雇用した事情を知らない多数の募金活動員を
関西一円の通行人の多い場所に配置し,
募金の趣旨を立看板で掲示させるとともに,
募金箱を持たせて寄付を勧誘する発言を連呼させ,
これに応じた通行人から現金をだまし取ったというものであって,
個々の被害者ごとに区別して個別に欺もう行為を行うものではなく,
不特定多数の通行人一般に対し,一括して,適宜の日,
場所において,連日のように,同一内容の定型的な働き掛けを行って
寄付を募るという態様のものであり,かつ,
被告人の1個の意思,企図に基づき継続して
行われた活動であったと認められる。
加えて,このような街頭募金においては,
これに応じる被害者は,比較的少額の現金を募金箱に投入すると,
そのまま名前も告げずに立ち去ってしまうのが通例であり,
募金箱に投入された現金は直ちに
他の被害者が投入したものと混和して
特定性を失うものであって,
個々に区別して受領するものではない。
以上のような本件街頭募金詐欺の特徴にかんがみると,
これを一体のものと評価して
包括一罪と解した原判断は是認できる。
そして,その罪となるべき事実は,
募金に応じた多数人を被害者とした上,
被告人の行った募金の方法,その方法により
募金を行った期間,場所及びこれにより
得た総金額を摘示することをもって
その特定に欠けるところはないというべきである。
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