過失犯と原因において自由な行為
昭和26年1月17日最高裁
事件番号 昭和25(れ)548
被告人は、いわゆる酒癖が悪く、
飲酒をすると、気性が荒くなる性格でしたが、
飲食店で酒を飲んで、もめ事を起こし、
肉切包丁でAを突き刺し、即死させました。
この裁判では、飲酒による病的酩酊で、心身喪失時の
犯罪行為の判断について注目されました。
最高裁判所の見解
本件被告人の如く、多量に飲酒するときは病的酩酊に陥り、
因って心神喪失状態において他人に
犯罪の害悪を及ぼす危険ある素質を有する者は、
居常右心神喪失の原因となる飲酒を抑止又は
制限する等前示危険の発生を未然に防止するよう注意する義務あるものといわねばならない。
しからば、たとえ原判決認定のように、
本件殺人の所為は被告人の心身喪失時の所為であったとしても、
(イ)被告人にして既に前示のような己れの
素質を自覚していたものであり且つ
(ロ)本件事前の飲酒につき前示注意義務を
怠ったがためであるとするならば、
被告人は過失致死の罪責を免れ得ないものといわねばならない。
二 殺人の公訴事実中には過失致死の事実をも
包含するものと解するを至当とすべきである。
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