拘置所に収容された被勾留者に対する国の安全配慮義務の有無
(平成28年4月21日最高裁)
事件番号 平成26(受)755
この裁判では、
拘置所に収容された被勾留者に対する
国の安全配慮義務の有無について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
未決勾留は,刑訴法の規定に基づき,逃亡又は
罪証隠滅の防止を目的として,被疑者又は被告人の居住を
刑事施設内に限定するものであって,
このような未決勾留による拘禁関係は,
勾留の裁判に基づき被勾留者の意思にかかわらず形成され,
法令等の規定に従って規律されるものである。
そうすると,未決勾留による拘禁関係は,
当事者の一方又は双方が相手方に対して
信義則上の安全配慮義務を負うべき特別な
社会的接触の関係とはいえない。
したがって,国は,拘置所に収容された被勾留者に対して,
その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる
信義則上の安全配慮義務を負わないというべきである
(なお,事実関係次第では,国が当該被勾留者に対して
国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負う場合が
あり得ることは別論である。)。
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