証拠偽造罪(刑法104条)
(平成28年3月31日最高裁)
事件番号 平成26(あ)1857
この裁判では、
他人の刑事事件について捜査官と相談しながら
虚偽の供述内容を創作するなどして供述調書を作成した行為が
証拠偽造罪に当たるかについて裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
他人の刑事事件に関し,被疑者以外の者が捜査機関から
参考人として取調べ(刑訴法223条1項)を受けた際,
虚偽の供述をしたとしても,刑法104条の証拠を
偽造した罪に当たるものではないと解されるところ
(大審院大正3年(れ)第1476号同年6月23日判決・
刑録20輯1324頁,大審院昭和7年(れ)
第1692号同8年2月14日判決・刑集12巻1号66頁,
大審院昭和9年(れ)第717号同年8月4日判決・
刑集13巻14号1059頁,最高裁昭和27年(あ)第1976号
同28年10月19日第二小法廷決定・刑集7巻10号1945頁参照),
その虚偽の供述内容が供述調書に録取される
(刑訴法223条2項,198条3項ないし5項)などして,
書面を含む記録媒体上に記録された場合であっても,
そのことだけをもって,同罪に当たるということはできない。
しかしながら,本件において作成された書面は,
参考人AのC巡査部長に対する
供述調書という形式をとっているものの,
その実質は,被告人,A,B警部補及びC巡査部長の4名が,
Dの覚せい剤所持という架空の事実に関する
令状請求のための証拠を作り出す意図で,
各人が相談しながら虚偽の供述内容を創作,
具体化させて書面にしたものである。
このように見ると,本件行為は,単に参考人として
捜査官に対して虚偽の供述をし,
それが供述調書に録取されたという事案とは異なり,
作成名義人であるC巡査部長を含む被告人ら4名が
共同して虚偽の内容が記載された証拠を新たに作り出したものといえ,
刑法104条の証拠を偽造した罪に当たる。
したがって,被告人について,A,B警部補及び
C巡査部長との共同正犯が成立するとした原判断は正当である。
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