大阪ドラム缶遺体事件(死刑の量刑が維持された事例)
(平成29年12月8日最高裁)
事件番号 平成27(あ)120
最高裁判所の見解
原判決が是認する第1審判決判示第3の強盗殺人の事実は,
被告人が,被害者夫婦方敷地に金品奪取目的で赴き,
同夫婦を殺害し,金品を奪取したという事案である。
被告人が強盗殺人を行ったことについて,被告人は,
債務の弁済等をしなければならない状況にあり,
被害者らが殺害された直後に被害品を換金してこれに充てていること,
被害者ら殺害の約2日後には自らガレージを賃借して被害者らの
遺体を梱包の上ドラム缶に入れ,
これを同ガレージ内に隠したことなどを総合することによって,
合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に
証明されているとみることに,不合理な点はない。
その余の事実を含め,被告人を有罪と認定した
第1審判決を是認した原判決は,正当として是認することができる。
2 本件は,上記の強盗殺人のほか,
窃盗3件等からなる事案である。
量刑判断の中心となる強盗殺人の犯行は,
被告人が,以前関わった居宅等工事の関係で生活状況を把握していた
高齢の被害者夫婦の財産を狙って,200万円を超える金品を奪い,
その機会に被害者両名の頭部をいずれも重量のある鈍器で殴打するなどし,
短時間のうちに絶命させたというものである。
その殺害態様は冷酷かつ悪質で,
強固な殺意が認められる上,犯行の利欲性も高い。
何らの落ち度も認められない
2名の生命を奪ったという結果は重大である。
被害者らの遺体をガレージ内の
ドラム缶に入れて放置するなどしたこともあり,
遺族らは厳しい処罰感情を示している。
被告人は不合理な弁解を続け,反省の態度を示していない。
以上のような事情に照らせば,被告人の刑事責任は
極めて重大であるといわざるを得ず,
当初から殺害の意図があったとまでは認められないこと,
罰金前科しかないことなど,
被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても,
原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,
やむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
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