延滞税納付債務不存在確認等請求事件

(平成26年12月12日最高裁)

事件番号  平成25(行ヒ)449

 

この裁判は、

相続税につき減額更正がされた後に

増額更正がされた場合において,

上記増額更正により新たに

納付すべきこととなった税額に係る部分について

上記相続税の法定納期限の翌日から

その新たに納付すべきこととなった税額の納期限までの期間に係る

延滞税が発生しないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

本件の場合において,仮に本件各相続税について

法定納期限の翌日から延滞税が発生することになるとすれば,

法定の期限内に本件各増差本税額に

相当する部分を含めて申告及び納付をした上告人らは,

当初の減額更正における土地の評価の誤りを理由として

税額を増額させる判断の変更をした課税庁の行為によって,

当初から正しい土地の評価に基づく減額更正がされた場合と比べて

税負担が増加するという回避し得ない不利益を被ることになるが,

このような帰結は,法60条1項等において延滞税の発生につき

納税者の帰責事由が必要とされていないことや,

課税庁は更正を繰り返し行うことができることを勘案しても,

明らかに課税上の衡平に反するものといわざるを得ない。

 

そして,延滞税は,納付の遅延に対する民事罰の性質を有し,

期限内に申告及び納付をした者との間の負担の公平を図るとともに

期限内の納付を促すことを目的とするものであるところ,

上記の諸点に鑑みると,このような延滞税の趣旨及び目的に照らし,

本件各相続税のうち本件各増差本税額に相当する部分について

本件各増額更正によって改めて納付すべきものとされた

本件各増差本税額の納期限までの期間に係る延滞税の発生は

法において想定されていないものとみるのが相当である。

 

したがって,本件各相続税のうち本件各増差本税額に相当する部分は,

本件各相続税の法定納期限の翌日から本件各増額更正に係る

増差本税額の納期限までの期間については,

法60条1項2号において延滞税の発生が予定されている延滞と

評価すべき納付の不履行による未納付の国税に

当たるものではないというべきであるから,

上記の部分について本件各相続税の法定納期限の翌日から

本件各増差本税額の納期限までの期間に係る

延滞税は発生しないものと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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