福島夫婦強盗殺人事件
(平成28年3月8日最高裁)
事件番号 平成26(あ)959
最高裁判所の見解
本件は,職に就くことなく,
家賃滞納のため借家を明け渡さざるを得なくなり,
妻と車上生活を送っていた被告人が,
就職して勤務先から住宅購入資金が借りられることになったなどと
妻に嘘を重ねた結果,多額の金員を手に入れる必要に迫られた挙げ句,
民家に押し入って金品を強奪しようと計画するとともに,
家人に騒がれたときには殺害もやむを得ないなどと考え,
あらかじめペティナイフ等を準備した上,早朝,
福島県内の民家に侵入し,財布を窃取した後,起床してきた夫婦
(夫Aは当時55歳,妻Bは当時56歳)の頸部,頭部等を
同ナイフで多数回突き刺すなどして殺害し,金品を強奪した,
という被殺者2名の強盗殺人等の事案である。
甚だ浅慮かつ身勝手に近隣の民家を襲って
強盗殺人に及んだ動機に酌むべき点はない。
被告人は,起床してきたAと対峙し,
ひるまない同人に当初こそ未必的であったものの,
その後は強固な殺意をもってペティナイフで頸部,頭部等を攻撃し続け,
重傷を負ってふらついている同人のうなじを更に突き刺し,
とどめを刺した。
なおも金員を強奪するため,Bに対し,
側頭部を同ナイフで突き刺すなどして
キャッシュカード等の暗証番号を聞き出し,
同女が救急車を呼ぶよう再三懇願するのも
無視し,頸部を突き刺している。
いずれの被害者に対しても,めった刺しにして,
その場で殺害しており,犯行態様は非情かつ残酷である。
そうすると,被告人の刑事責任は,
極めて重大であるといわざるを得ず,被告人が遺族らに謝罪し,
反省の態度を示していること,前科がないことなど,
被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,
その刑事責任は極めて重大であり,原判決が維持した
第1審判決の死刑の科刑は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
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