エッソ石油事件(チェック・オフ)
(平成5年3月25日最高裁)
事件番号 平成3(オ)928
Y社の従業員XらはA労働組合の組合員でしたが、
執行部と対立し、B労働組合を結成しました。
そして、B組合に属する支部・分会連合会は、
Y社に対して、チェックオフにかかるA組合の組合費を
A組合に交付せず、この支部・分会連合会に支払うよう
申し入れましたが、Y社は以後の賃金も
Xらの賃金等からA組合の組合費をチェックオフし、
A組合に交付したため、この行為が不法行為であるとして、
チェックオフされた組合費分に相当する損害額の賠償を求めて
訴えを提起しました。
最高裁判所の見解
労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)24条1項ただし書の
要件を具備するチェック・オフ協定の締結は、
これにより、右協定に基づく使用者のチェック・オフが
同項本文所定の賃金全額払の原則の例外とされ、
同法120条1号所定の罰則の適用を受けないという
効力を有するにすぎないものであって、
それが労働協約の形式により締結された場合であっても、
当然に使用者がチェック・オフをする権限を取得するものでないことはもとより、
組合員がチェック・オフを受忍すべき義務を負うものではないと解すべきである。
使用者と労働組合との間に右協定(労働協約)が
締結されている場合であっても、
使用者が有効なチェック・オフを行うためには、
右協定の外に、使用者が個々の組合員から、
賃金から控除した組合費相当分を労働組合に支払うことにつき
委任を受けることが必要であって、右委任が存しないときには、
使用者は当該組合員の賃金からチェック・オフを
することはできないものと解するのが相当である。
そうすると、チェック・オフ開始後においても、
組合員は使用者に対し、
いつでもチェック・オフの中止を申し入れることができ、
右中止の申入れがされたときには、使用者は当該組合員に
対するチェック・オフを中止すべきものである。
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