日産自動車事件(組合事務所事件)
(昭和62年5月8日最高裁)
事件番号 昭和57(行ツ)50
この裁判では、労働組合が併存する場合に、
使用者が、一方の組合に組合事務所等を貸与し、
他方の組合に対して一切貸与を拒否することは、
不当労働行為となるかについて最高裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
使用者の中立保持義務は、組合事務所等の貸与という
いわゆる便宜供与の場面においても異なるものではなく、
組合事務所等が組合にとってその活動上重要な意味を持つことからすると、
使用者が、一方の組合に組合事務所等を貸与しておきながら、
他方の組合に対して一切貸与を拒否することは、
そのように両組合に対する取扱いを異にする合理的な理由が存在しない限り、
他方の組合の活動力を低下させその弱体化を図ろうとする意図を推認させるものとして、
労働組合法7条3号の不当労働行為に該当すると解するのが相当である
(右合理的な理由の存否については、単に使用者が表明した
貸与拒否の理由について表面的、抽象的に検討するだけでなく、
一方の組合に貸与されるに至った経緯及び貸与についての
条件設定の有無・内容、他方の組合に対する貸与をめぐる
団体交渉の経緯及び内容、企業施設の状況、貸与拒否が
組合に及ぼす影響等諸般の事情を総合勘案してこれを判断しなければならない。)。
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