日立製作所武蔵工場事件
(平成3年11月28日最高裁)
事件番号 昭和61(オ)840
Y社の工場で製品の品質管理業務に従事していたXは、
上司から、製品の良品率が低下した原因の究明と
手抜き作業のやりなおしを行うために、
残業をするよう命じられましたが、
これを拒否して、翌日にこの作業をこなしました。
Xのこの行動について、Y社は、
14日間の出勤停止の懲戒処分としましたが、
Xはなお、残業命令に従うつもりはないという態度を
貫きました。
そこで、Y社は、過去の懲戒処分歴と併せ、
悔悟の見込みがないとしてXを懲戒解雇としました。
Xはこの懲戒解雇が無効であると主張して提訴しました。
一審は三六協定で定める時間外労働事由は
具体性に欠けるとして、残業命令は無効であるとし、
懲戒解雇も無効としました。
原審は残業命令は有効であり、懲戒解雇も有効であるとし、
Xは上告しました。
最高裁判所の見解
いわゆる三六協定が締結され、行政官庁に届け出られた場合において、
労働協約に使用者は労働基準法32条の定める
労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定められているときは、
その労働協約を締結した労働組合に加入している労働者と使用者との間の労働契約は、
当該三六協定の範囲内でその労働協約の定めによることとなり、
労働者は、これにより時間外労働の義務を
負うこととなると解するのを相当とする。
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