東芝事件(東芝労働組合小向支部事件)

(平成19年2月2日最高裁)

事件番号  平成16(受)1787

 

この裁判では、労働組合から組合員が脱退する権利を制限する合意の

有効性について、裁判所が見解をしました。

 

最高裁判所の見解

一般に,労働組合の組合員は,脱退の自由,すなわち,

その意思により組合員としての

地位を離れる自由を有するものと解される。

 

そうすると,本件付随合意は,上記の脱退の自由を制限し,

上告人が被上告人Yから脱退する権利をおよそ行使しないことを,

被上告人Y に対して約したものであることとなる。

 

本件付随合意は,上告人と被上告人Yとの間で

成立したものであるから,

その効力は,原則として,上告人と合意の相手方である

被上告人Y との間において発生するものであり,

上告人が本件付随合意に違反して被上告人Y から脱退する権利を行使しても,

被上告人Y との間で債務不履行の責任等の問題を生ずるにとどまる。

 

前記事実関係の下においては,

合意の相手方でない被上告人Y との間でも

そのような問題を生ずると解すべき

特別の根拠となる事由は認められない。

 

労働組合は,組合員に対する統制権の保持を法律上認められ,

組合員はこれに服し,組合の決定した活動に加わり,

組合費を納付するなどの義務を免れない立場に置かれるものであるが,

それは,組合からの脱退の自由を前提として

初めて容認されることである。

 

そうすると,本件付随合意のうち,

被上告人Y から脱退する権利を

およそ行使しないことを上告人に義務付けて,

脱退の効力そのものを生じさせないとする部分は,

脱退の自由という重要な権利を奪い,

組合の統制への永続的な服従を強いるものであるから,

公序良俗に反し,無効であるというべきである。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

 

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