津田電気計器事件(高年齢者の雇用確保)
(平成24年11月29日最高裁)
事件番号 平成23(受)1107
電子計測機器等の製造・販売を業務内容とするY社は、
60歳定年制を導入していましたが、
定年後1年間嘱託として雇用する取扱いをしていました。
平成18年に、高年齢者雇用安定法9条2項の定める
継続雇用基準を含むとして、
高年齢者の在職中の業務実態および業務能力につき査定を行い、
総点数が0点以上の高齢者のみ採用する
高年齢者継続雇用規程を定めました。
向き労働契約としてY社と契約し、
さらに1年間嘱託として雇用されたXが、
61歳以降の継続雇用(再雇用)が認められなかったため、
Y社に対して労働契約上の地位にあることの確認と同契約に基づき
週40時間(予備的に週30時間)の労働時間に対応する額の
賃金の支払いを請求しました。
(なお、Xは本件規定所定の方法で点数化すると、
1点となるところ、評価方法を誤り、0点に満たないと評価されていました。)
最高裁判所の見解
Y社は,法9条2項に基づき,
本社工場の従業員の過半数を代表する者との書面による協定により,
継続雇用基準を含むものとして
本件規程を定めて従業員に周知したことによって,
同条1項2号所定の継続雇用制度を導入したものとみなされるところ,
期限の定めのない雇用契約及び定年後の嘱託雇用契約により
Y社に雇用されていたXは,
在職中の業務実態及び業務能力に係る査定等の内容を
本件規程所定の方法で点数化すると総点数が1点となり,
本件規程所定の継続雇用基準を満たすものであったから,
Y社において嘱託雇用契約の終了後も雇用が継続されるものと
期待することには合理的な理由があると認められる一方,
Y社においてXにつき上記の継続雇用基準を
満たしていないものとして本件規程に基づく
再雇用をすることなく嘱託雇用契約の終期の到来により
Xの雇用が終了したものとすることは,他にこれをやむを得ないものとみるべき
特段の事情もうかがわれない以上,客観的に合理的な理由を欠き,
社会通念上相当であると認められないものといわざるを得ない。
したがって,本件の前記事実関係等の下においては,
前記の法の趣旨等に鑑み,Y社とXとの間に,
嘱託雇用契約の終了後も本件規程に基づき再雇用されたのと
同様の雇用関係が存続しているものとみるのが相当であり,
その期限や賃金,労働時間等の労働条件については
本件規程の定めに従うことになるものと解される。
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