参議院非拘束名簿式比例代表制の合憲性
(平成16年1月14日最高裁判所)
事件番号 平成15(行ツ)15
2000年(平成12年)公職選挙法により導入された
参議院比例代表選出議員の
非拘束名簿式比例代表制について、
選挙人らは、選挙人の投票意思が代表者選出に
忠実に反映しないことから選挙権を保障する憲法15条に反し、
選挙人の投票意思が自己の当選させたくない個人名や
政党名を記載した投票者の投票意思のために用いられることから
直接選挙を保障する憲法43条1項に反するとして、
これに依拠してされた
2001年(平成13年)7月29日の参議院選挙のうち
比例代表選出議員の選挙無効を主張して訴訟が提起されました。
最高裁判所の見解
国会が参議院議員の選挙制度の仕組みを決定するに当たり、
政党の上記のような国政上の重要な役割にかんがみて、
政党を媒体として国民の政治意思を
国政に反映させる名簿式比例代表制を採用することは、
その裁量の範囲に属することが明らかである。
そして、名簿式比例代表制は、
政党の選択という意味を持たない
投票を認めない制度であるから、
本件非拘束名簿式比例代表制の下において、
参議院名簿登載者個人には投票したいが、
その者の所属する参議院名簿届出政党等には
投票したくないという
投票意思が認められないことをもって、
国民の選挙権を侵害し、
憲法15条に違反するものとまでいうことはできない。
また、当該制度での当選者の決定方式が、
投票の結果、すなわち選挙人の総意により
当選人が決定される点で、
選挙人が候補者個人を直接選択して
投票する方式と異なるところはないから、
本件非拘束名簿式比例代表制による比例代表選挙が
直接選挙に当たらないということはできず、
憲法43条1項に違反するとはいえないとしました。
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