過料の裁判を非公開・非対審で行う事の合憲性
(昭和41年12月27日最高裁)事件番号 昭和37(ク)64
過料の裁判が非公開・非対審で行う事を
憲法に違反するという主張に対して、
最高裁判所は次のように見解を示しました。
最高裁判所の見解
民事上の秩序罰としての過料を科する作用は、
国家のいわゆる後見的民事監督の作用であり、
その実質においては、
一種の行政処分としての性質を有するものであるから、
必ずしも裁判所がこれを科することを
憲法上の要件とするものではなく、行政庁がこれを科する
(地方自治法149条3号、255条の2参照)ことにしても、
なんら違憲とすべき理由はない。
従って、法律上、裁判所が
これを科することにしている場合でも、過料を科する作用は、
もともと純然たる訴訟事件としての性質の認められる
刑事制裁を科する作用とは異なるのであるから、
憲法82条、32条の定めるところにより、
公開の法廷における対審及び判決によって
行なわれなければならないものではない。
ただ、現行法は、過料を科する作用が
これを科せられるべき者の意思に反して
財産上の不利益を課するものであることにかんがみ、
公正中立の立場で、慎重にこれを決せしめるため、
別段の規定のないかぎり、
過料は非訟事件手続法の定めるところにより
裁判所がこれを科することとし(非訟事件手続法206条)、
その手続についていえば、原則として、
過料の裁判をする前に当事者(過料に処せられるべき者)
の陳述を聴くべきものとし、
当事者に告知・弁解・防禦の機会を与えており(同207条2項)、
例外的に当事者の陳述を聴くことなく過料の裁判をする場合においても、
当事者から異議の申立があれば、右の裁判はその効力を失い、
その陳述を聴いたうえ改めて裁判を
しなければならないことにしている(同208条ノ2)。
しかも、過料の裁判は、理由を付した決定で
これをすることとし(同207条1項)、
これに不服のある者は即時抗告をすることができ、
この抗告は過料の裁判の執行停止の
効力を有するものとする(同条3項)など、
違法・不当に過料に処せられることがないよう
十分配慮しているのであるから、非訟事件手続法による過料の裁判は、
もとより法律の定める適正な手続による裁判ということができ、
それが憲法31条に違反するものでないことは明らかである。
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