非訟手続の抗告審における反論の機会
(平成20年5月8日最高裁)事件番号 平成19(ク)1128
「 婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審が
抗告の相手方に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず、
反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことが、
憲法32条に違反する」という主張に対して、
最高裁判所が次のように見解を示しました。
最高裁判所の見解
憲法32条,31条が要請する当事者の
手続関与権、審問請求権の保障の問題は、
当該手続全体の中で捉えられるべきものであり、
その手続の一部において手続保障が充足されていなくても、
手続全体としてみたときにそれが確保されているときには、
憲法32条、31条の趣旨は反映されているものといえるところ、
上記のとおり、家事審判法9条1項乙類の審判手続には、
当事者の手続関与権、審問請求権が一応充足されている以上、
その抗告審の手続において、その保障を欠いていることをもって、
上記の憲法各条違反の問題は生じないものというべきである。
本質的に非訟事件である婚姻費用の分担に
関する処分の審判に対する抗告審において
手続にかかわる機会を失う不利益は、同条所定の
「裁判を受ける権利」とは直接の関係がないというべきである。
本件は、即時抗告により不利益変更を受けた当審抗告人に
即時抗告の抗告状等の送付・送達がなく
反論の機会も与えられなかったことが問題とされている案件であって、
真の争点は憲法82条の公開原則の問題とは直接の関係を有しない。
原審が、抗告人(原審における相手方)に対し
抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず、
反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことが
同条所定の「裁判を受ける権利」を侵害したものであるということはできず、
本件抗告理由のうち憲法32条違反の主張には理由がない。
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