選挙無効訴訟の違憲の主張

(平成26年7月9日最高裁)

事件番号  平成26(行ツ)96

 

この裁判では、

公職選挙法204条の選挙無効訴訟において

選挙人が同法205条1項所定の選挙無効の原因として

同法9条1項並びに11条1項2号及び3号の規定の

違憲を主張することの可否について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,

民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,

本件上告理由第1点及び第2点は,公職選挙法9条1項並びに

11条1項2号及び3号の規定(以下「本件各規定」という。)が

所定の者又は所定外の者につき選挙権を有しないものとしていることに

ついて本件各規定の違憲をいうが,所論はその前提を欠くものであって,

明らかに民訴法312条1項又は2項に規定する事由に該当しない。

 

すなわち,本件訴訟は,選挙人が民衆訴訟(行政事件訴訟法5条)である

公職選挙法204条の選挙無効訴訟として

選挙人たる資格で提起したものであるところ,

民衆訴訟は,裁判所法3条1項の「法律上の争訟」ではなく

同項の「その他法律において特に定める権限」に含まれるものとして,

「法律に定める場合において,法律に定める者に限り,

提起することができる」ものとされている

(行政事件訴訟法42条)。

 

そして,公職選挙法204条の選挙無効訴訟について,

同条は選挙人又は公職の候補者のみがこれを提起し得るものと定め,

同法205条1項は上記訴訟において主張し得る選挙無効の原因を

「選挙の規定に違反することがあるとき」と定めており,

これは,主として選挙管理の任にある機関が選挙の管理執行の手続に

関する明文の規定に違反することがあるとき又は

直接そのような明文の規定は存在しないが

選挙の基本理念である選挙の自由公正の原則が

著しく阻害されるときを指すものと解される

(最高裁昭和27年(オ)第601号同年12月4日

第一小法廷判決・民集6巻11号1103頁,

最高裁昭和51年(行ツ)第49号同年9月30日

第一小法廷判決・民集30巻8号838頁参照)。

 

このように,公職選挙法204条の選挙無効訴訟は,

同法において選挙権を有するものとされている選挙人らによる

候補者に対する投票の結果としての選挙の効力を選挙人又は

候補者が上記のような無効原因の存在を主張して争う争訟方法であり,

同法の規定において一定の者につき選挙権を

制限していることの憲法適合性については,

当該者が自己の選挙権の侵害を理由に

その救済を求めて提起する訴訟において

これを争うことの可否はおくとしても,

同条の選挙無効訴訟において選挙人らが

他者の選挙権の制限に係る当該規定の違憲を主張して

これを争うことは法律上予定されていない。

 

そうすると,選挙人が同条の選挙無効訴訟において

同法205条1項所定の選挙無効の原因として

本件各規定の違憲を主張し得るものとはいえないから,

この点に関する論旨は採用することができず,

所論はその前提を欠くものといわざるを得ない。

 

また,その余の上告理由は,公職選挙法の他の諸規定について

その違憲をいうが,その実質は事実誤認又は

単なる法令違反を主張するものであって,

いずれも明らかに民訴法312条1項又は

2項に規定する事由に該当しない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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