判決の公示送達の不知を理由とする上訴の追完が許された事例

(昭和42年2月24日最高裁)

事件番号  昭和41(オ)935

 

この裁判は、

判決の公示送達の不知を理由とする上訴の追完が

許された事例です。

 

最高裁判所の見解

原判決の確定するところによれば、控訴人は、

本訴提起以前より法定代理人である母Dと共に

判示の場所に住民登録をして居住していたところ、

被控訴人(上告人A)およびその代理人秋山弁護士は、

本訴提起前に控訴人およびその母Dが

その本籍地に居住していないで判示の場所に居住していることを知り、

昭和三一年九月頃右住居に母Dを訪問し、

本件土地所有権移転登記請求のことで接衝したが、

同女が容易に承諾しなかったので、

当時土地の登記簿上の住所地であった前示本籍地をもって

控訴人の住所地であると称して控訴人に対し本訴を提起し、

受送達者の住所が不明であるとして

控訴人に対する書類の送達につき

公示送達の申立をなし、原審において

これが許容されて公示送達の方法により

控訴人不出頭のまま審理判決され、

その判決の送達も前示のように

公示送達の方法によってなされたというのである。

 

この点につき原判決の証拠の採否を争う所論は採用できない。

 

このような場合、控訴人の法定代理人Dが

判示日時に判示の事情の下に漸く

本件判決の公示送達の事実を知り、

直ちに前記のように控訴提起に及んだ本件においては、

控訴人がその責に帰することができない事由により

不変期間を遵守することができなかった場合として

本件控訴提起を適法と解すべきである。

 

これと見解を異にする所論は、採用できない。

原判決に所論の違法はない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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