株主総会決議無効確認請求

(昭和45年4月2日最高裁)

事件番号  昭和44(オ)1112

 

この裁判では、

役員選任の株主総会決議取消の訴の係属中に

当該役員が退任した場合と訴の利益に有無ついて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

株主総会決議取消の訴は形成の訴であるが、

役員選任の総会決議取消の訴が係属中、

その決議に基づいて選任された取締役ら

役員がすべて任期満了により退任し、

その後の株主総会の決議によって取締役ら役員が新たに選任され、

その結果、取消を求める選任決議に基づく

取締役ら役員がもはや現存しなくなったときは、

右の場合に該当するものとして、特別の事情のないかぎり、

決議取消の訴は実益なきに帰し、

訴の利益を欠くに至るものと解するを相当とする。

 

叙上の見地に立って、

本件につきかかる特別事情が存するか否かを見るに、

原審の認定したところによれば、

上告人らの取消を求める株主総会の決議によって選任された取締役らは、

いずれもすべて任期終了して退任しているというのであるところ、

所論は、取消し得べき決議に基づいて

選任された取締役の在任中の行為について

会社の受けた損害を回復するためには、

今なお当該決議取消の利益があるものと主張し、

そのいうところは、本件取消の訴は、

会社の利益のためにすると主張するものと解されるところがある。

 

しかして、株主総会決議取消の訴は、

単にその訴を提起した者の

個人的利益のためのみのものでなく、

会社企業自体の利益のためにするものであるが、上告人は、

右のごとき主張をするにかかわらず本件取消の訴が

会社のためにすることについて何等の立証をしない以上、

本件について特別事情を認めるに由なく、

結局本件の訴は、訴の利益を欠くに至ったものと認める外はない

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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