標準時後の事情変更
(昭和42年7月18日最高裁)
事件番号 昭和40(オ)1232
最高裁判所の見解
一個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴が
提起された場合には、訴訟物は、
右債権の一部の存否のみであって全部の存否ではなく、
従って、右一部の請求についての確定判決の既判力は
残部の請求に及ばないと解するのが相当である
(当裁判所昭和35年(オ)第359号、同37年8月10日
言渡第二小法廷判決、民集16巻8号1720頁参照)。
ところで、記録によれば、所論の前訴
(東京地方裁判所昭和31年(ワ)第9504号、
東京高等裁判所同33年(ネ)第2559号、第2623号)
における被上告人の請求は、被上告人主張の本件不法行為により
惹起された損害のうち、右前訴の最終口頭弁論期日たる
同35年5月25日までに支出された治療費を損害として
主張しその賠償を求めるものであるところ、
本件訴訟における被上告人の請求は、
前記の口頭弁論期日後にその主張のような経緯で
再手術を受けることを余儀なくされるにいたったと主張し、
右治療に要した費用を損害として
その賠償を請求するものであることが明らかである。
右の事実によれば、所論の前訴と本件訴訟とは
それぞれ訴訟物を異にするから、
前訴の確定判決の既判力は本件訴訟に及ばないというべきであり、
原判決に所論の違法は存しない。
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