不動産強制競売事件の期間入札

(平成26年11月4日最高裁)

事件番号  平成26(許)15

 

この裁判は、

不動産強制競売事件の期間入札において,

執行官が無効な入札をした者を最高価買受申出人と定めたとして

売却不許可決定がされ,これが確定した場合に,

当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を開くこととした

執行裁判所の判断に違法がないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

本件競売事件の期間入札において入札をしたのは,

BとCのみであり,当初の開札期日において,

執行官がCの入札を誤って有効と判断したという

瑕疵(以下「本件瑕疵」という。)がなければ,

当初の開札期日において,Cの入札は排除され,

Bの入札を無効とすべき事情がない限り,

Bが最高価買受申出人と定められるべきであったといえる。

 

そして,Bは,Cに対する売却不許可決定が確定した後,

当初の入札までの手続を前提に

再度の開札期日が指定される場合には,

なお本件不動産の買受けを希望し,

執行裁判所の定める期間内に買受けの申出の保証を

再度提供する旨を明らかにしていたところであり,

他にBの入札を無効とすべき事情が

あったことはうかがわれない。

 

このような場合に,本件瑕疵があるからといって,

既に行われた入札までの手続を含む売却の手続全体が

瑕疵を帯びると解すべき理由はないから,

再度の開札期日においてCの無効な入札が排除されれば,

当初の入札までの手続を前提に

売却の手続を続行するのに何ら支障はない。

 

当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を定めて

その後の手続を続行することは,

本件競売事件における公正かつ迅速な手続による

売却の実現に資するものとして合理的なものということができる。

 

このことは,新たに売却実施処分をした場合には,

Bの入札価額より高額での買受けの申出が

される可能性があったとしても,

何ら異なるものではない。

 

以上の事情に照らせば,本件競売事件において,

Cに対する売却不許可決定が確定した後,

当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を開くこととした

執行裁判所の判断に違法があるということはできない

(最高裁平成22年(許)第2号同年8月25日

第一小法廷決定・民集64巻5号1482頁参照)。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


行政書士試験にわずか147日で合格した勉強法

行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本


スポンサードリンク

関連記事