公衆浴場営業許可申請と先願主義
(昭和47年5月19日最高裁)
事件番号 昭和43(行ツ)79
この裁判では、
公衆浴場営業許可申請と先願主義について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
おもうに、公衆浴場法は、公衆浴場の経営につき許可制を採用し、
その2条2項本文において、
「都道府県知事は、公衆浴場の設置の場所若しくはその構造設備が、
公衆衛生上不適当であると認めるとき又は
その設置の場所が配置の適正を欠くと認めるときは、
前項の許可を与えないことができる。」と規定しているが、
それは、主として国民保健および環境衛生という
公共の福祉の見地から営業の自由を制限するものである。
そして右規定の趣旨およびその文言からすれば、
右許可の申請が所定の許可基準に適合するかぎり、行政庁は、
これに対して許可を与えなければならないものと解されるから、
本件のように、右許可をめぐって競願関係が生じた場合に、
各競願者の申請が、いずれも許可基準をみたすものであって、
そのかぎりでは条件が同一であるときは、行政庁は、
その申請の前後により、先願者に
許可を与えなければならないものと解するのが相当である。
けだし、許可の要件を具備した許可申請が適法になされたときは、
その時点において、申請者と行政庁との間に許可を
なすべき法律関係が成立したものというべく、
この法律関係は、許可が法律上の覊束処分であるかぎり、
その後になされた第三者の許可申請によって
格別の影響を受けるべきいわれはなく、後の申請は、
上記のような既存の法律関係がなんらかの理由により
許可処分に至らずして消滅した場合にのみ、
これに対して許可をなすべき法律関係を
成立せしめうるにとどまるというべきだからである。
なお、所論は、右の場合における先願後願は
申請の受理の順序によって決すべきであると主張するけれども、
さきに述べた公衆浴場営業許可の性質および各申請を
公平に取り扱うべき要請から考えれば、
右先願後願の関係は、所定の申請書が
これを受け付ける権限を有する行政庁に提出された時を基準として
定めるべきものと解するのが相当であって、
申請の受付なし受理というような行政庁の行為の前後によって
これを定めるべきものと解することはできない。
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