情報公開法5条3号又は6号所定の不開示情報

(平成30年1月19日最高裁)

事件番号  平成29(行ヒ)46

 

この裁判では、

情報公開法5条3号又は6号所定の不開示情報について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

内閣官房は,我が国の国政上の重要事項や

内閣の重要政策に関する企画,立案及び総合調整,情報の収集及び分析,

危機管理等をつかさどる機関であるところ,

これらの事務を的確に行うために,内閣官房は,

内閣官房長官によるその時々の政策的判断に基づき,

内政上及び外政上の重要政策の関係者に対し

非公式に交渉や協力依頼等を行い,あるいは,

重要事項につき外部からの情報収集を行うなどの

様々な活動に及ぶことがあり,内閣官房報償費は,

そのような活動を円滑かつ効果的に遂行するために

必要な経費について支出されるものということができる。

 

そして,一般に,内閣の行う政策や施策は,

我が国の内政及び外政の根幹に関わるものとして,

絶えず関心が寄せられるものであり,取り分け

内閣官房報償費の支出の対象となるような重要政策等に関しては,

特に高度の関心が寄せられ,様々な手段により,

これに関連する情報の積極的な収集,分析等が

試みられる蓋然性があるものというべきである。

 

重要政策等に関して内閣官房から

非公式の協力依頼等を受けた関係者は,

上記のような事柄の性質上,自らが関与するなどした事実が

公にならないことを前提に

これに応じることが通常であると考えられる。

 

そうすると,上記事実に関する情報又は

これを推知し得る情報が開示された場合には,

当該関係者からの信頼が失われ,

重要政策等に関する事務の遂行に支障が生ずるおそれがあるとともに,

内閣官房への協力や情報提供等が控えられることとなる結果,

今後の内閣官房の活動全般に支障が生ずることもあり得る。

 

また,このような関係者等の氏名又は名称が明らかになると,

これらの者への不正な働き掛けが可能となり,

その安全が脅かされたり,情報が漏えいしたりすることによって,

内閣官房の活動の円滑かつ効果的な遂行に支障が生ずるおそれもある。

 

以上のことを踏まえて検討すると,報償費支払明細書のうち

調査情報対策費及び活動関係費の各支払決定に係る

記録部分が開示された場合,その支払相手方や

具体的使途が直ちに明らかになるものではないが,

支払決定日や具体的な支払金額が明らかになることから,

上記(1)のような内閣官房報償費に関する情報の性質を考慮すれば,

当該時期の国内外の政治情勢や政策課題,内閣官房において

対応するものと推測される重要な出来事,

内閣官房長官の行動等の内容いかんによっては,

これらに関する情報との照合や分析等を行うことにより,

その支払相手方や具体的使途についても相当程度の確実さをもって

特定することが可能になる場合があるものと考えられる。

 

そうすると,上記記録部分に記録された情報は,

これを公にすることにより,内閣官房において行う

我が国の重要政策等に関する事務の適正な遂行に

支障を及ぼすおそれがあるものと認められ,さらに,

上記情報のうち我が国の外交関係や他国等の利害に

関係する事項に関するものについては,

これを公にすることにより,国の安全が害され,

他国等との信頼関係が損なわれ,又は他国等との

交渉上不利益を被るおそれがあるとした内閣官房内閣総務官の

判断に相当な理由があるものと認められる。

 

したがって,上記情報は,

情報公開法5条3号又は6号所定の不開示情報に

該当するというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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