教科用図書検定における文部大臣の助言、指導の性質を有する改善意見
(平成9年8月29日最高裁)
事件番号 平成6(オ)1119
この裁判では、
教科用図書検定における文部大臣の
助言、指導の性質を有する改善意見の適法性について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
改善意見は、検定の合否に直接の影響を及ぼすものではなく、
文部大臣の助言、指導の性質を有するものと考えられるから、
教科書の執筆者又は出版社がその意に反して
これに服さざるを得なくなるなどの特段の事情がない限り、
その意見の当不当にかかわらず、原則として、
違法の問題が生ずることはないというべきである。
所論は、昭和五五年度にされた本件教科書の新規検定の際に、
文部大臣が、「親鸞」及び「日本の侵略」に関する各原稿記述に対して
改善意見を付したことは違憲、違法であるというものであるが、
所論の点に関する原審の認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして
首肯するに足り、右認定に係る事実関係、とりわけ、上告人は、
各改善意見に反論して従わず、原稿本の記述が
そのまま最終記述となって合格処分を受け、
検定側において特に改善意見を直接的にも間接的にも
強制したようなことはなかったなどの事情の下では、
改善意見を付した文部大臣の行為に違法はないとした原審の判断は、
正当として是認することができる。
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