消防長の建築許可は行政処分か

(昭和34年1月29日最高裁)

事件番号  昭和29(オ)391

 

この裁判では、

消防法第7条による消防長の建築許可の同意、同意の拒絶、

又は同意の取消は行政処分かについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

論旨は、所論の本件消防長のなした同意取消は、

行政事件訴訟特例法の対象となる

行政処分であると主張するに帰する。

 

しかし同法が行政処分の取消変更を求める訴を規定しているのは、

公権力の主体たる国又は公共団体がその行為によって、

国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが

法律上認められている場合に、

行政庁によつてなされる具体的行為によって、

権利を侵害された者のために、その違法を主張せしめ、

その効力を失わしめるためである。

 

従って、かかる抗告訴訟の対象となるべき行政庁の行為は、

対国民との直接の関係において、

その権利義務に関係あるものたることを必要とし、

行政機関相互間における行為は、その行為が、

国民に対する直接の関係において、その権利義務を形成し、

又はその範囲を確定する効果を伴うものでない限りは、

抗告訴訟の対象とならない

 

そして、このことは、行政事件訴訟特例法により

行政庁の行為の無効確認を求める場合においても同様である。

 

しかるに本件消防長の同意は、

知事に対する行政機関相互間の行為であって、

これにより対国民との直接の関係において

その権利義務を形成し又は

その範囲を確定する行為とは認められないから、

前記法律の適用については、

これを訴訟の対象となる行政処分ということはできない

 

それ故、本件においては、

知事のなした建築出願不許可処分に対し、

その違法を理由として行政訴訟を適法に提起し、

その訴訟において、右不許可処分の前提となった

消防長の同意拒絶乃至同意取消の違法を主張しうることは

格別、行政機関相互間の行為たるに止まる、

知事に対する消防長の本件同意拒絶乃至同意取消の違法を

主張して消防長を被告としてその取消乃至無効確認を求める訴は、

不適法たるを免れず、これと同趣旨に出でた原判決は正当である。

所論は採るを得ない。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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