行政事件訴訟法12条3項にいう「事案の処理に当たった下級行政機関」
(平成26年9月25日最高裁)
事件番号 平成26(行フ)2
この裁判では、
行政組織法上の行政機関以外の組織が行政事件訴訟法12条3項にいう
「事案の処理に当たった下級行政機関」に該当する場合について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
労働大臣は,石綿肺の医学的知見が確立した
昭和33年3月31日頃以降,石綿工場に
局所排気装置を設置することの義務付けが可能となった段階で,
できる限り速やかに,旧労基法に基づく省令制定権限を適切に行使し,
罰則をもって上記の義務付けを行って局所排気装置の普及を
図るべきであったということができる。
そして,昭和33年には,局所排気装置の設置等に関する実用的な
知識及び技術が相当程度普及して石綿工場において
有効に機能する局所排気装置を設置することが可能となり,
石綿工場に局所排気装置を設置することを義務付けるために必要な
実用性のある技術的知見が存在するに
至っていたものと解するのが相当である。
また,昭和33年当時,石綿工場において粉じん濃度を
測定することができる技術及び
有用な粉じん濃度の評価指標が存在しており,
局所排気装置の性能要件を設定することも可能であったというべきである。
そうすると,昭和33年通達が発出された同年5月26日には,
労働大臣は省令制定権限を行使して石綿工場に
局所排気装置を設置することを
義務付けることが可能であったということができる。
本件における以上の事情を総合すると,労働大臣は,
昭和33年5月26日には,旧労基法に基づく省令制定権限を行使して,
罰則をもって石綿工場に局所排気装置を設置することを
義務付けるべきであったのであり,旧特化則が制定された
昭和46年4月28日まで,労働大臣が旧労基法に基づく
上記省令制定権限を行使しなかったことは,
旧労基法の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,
著しく合理性を欠くものであって,
国家賠償法1条1項の適用上違法であるというべきである。
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