都道府県知事の病院開設中止の勧告と抗告訴訟の対象
(平成17年7月15日最高裁)
事件番号 平成14(行ヒ)207
この裁判では、
都道府県知事の病院開設中止の勧告と
抗告訴訟の対象について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告は,
医療法上は当該勧告を受けた者が任意に
これに従うことを期待してされる行政指導として
定められているけれども,当該勧告を受けた者に対し,
これに従わない場合には,相当程度の確実さをもって,
病院を開設しても保険医療機関の指定を
受けることができなくなるという
結果をもたらすものということができる。
そして,いわゆる国民皆保険制度が
採用されている我が国においては,
健康保険,国民健康保険等を利用しないで
病院で受診する者はほとんどなく,
保険医療機関の指定を受けずに診療行為を行う病院が
ほとんど存在しないことは公知の事実であるから,
保険医療機関の指定を受けることができない場合には,
実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになる。
このような医療法30条の7の規定に基づく
病院開設中止の勧告の保険医療機関の指定に及ぼす効果及び
病院経営における保険医療機関の指定の持つ意義を併せ考えると,
この勧告は,行政事件訴訟法3条2項にいう
「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」
に当たると解するのが相当である。
後に保険医療機関の指定拒否処分の効力を抗告訴訟によって
争うことができるとしても,
そのことは上記の結論を左右するものではない。
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事