開発許可の取消しを求める訴えの利益
(平成28年 3月10日最高裁)
事件番号 平成27(行ヒ)301
この裁判では、
市街化調整区域内における開発行為に関する工事が完了し
検査済証が交付された後における
開発許可の取消しを求める訴えの利益について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
市街化調整区域のうち,
開発許可を受けた開発区域以外の区域においては,
都市計画法43条1項により,
原則として知事等の許可を受けない限り
建築物の建築等が制限されるのに対し,
開発許可を受けた開発区域においては,
同法42条1項により,開発行為に関する工事が完了し,
検査済証が交付されて工事完了公告がされた後は,
当該開発許可に係る予定建築物等以外の
建築物の建築等が原則として制限されるものの,
予定建築物等の建築等についてはこれが可能となる。
そうすると,市街化調整区域においては,開発許可がされ,
その効力を前提とする検査済証が交付されて
工事完了公告がされることにより,
予定建築物等の建築等が可能となるという
法的効果が生ずるものということができる。
したがって,市街化調整区域内にある
土地を開発区域とする開発行為ひいては
当該開発行為に係る予定建築物等の建築等が制限されるべきであるとして
開発許可の取消しを求める者は,当該開発行為に関する工事が完了し,
当該工事の検査済証が交付された後においても,
当該開発許可の取消しによって,その効力を前提とする
上記予定建築物等の建築等が可能となるという
法的効果を排除することができる。
以上によれば,市街化調整区域内にある
土地を開発区域とする開発許可に関する工事が完了し,
当該工事の検査済証が交付された後においても,
当該開発許可の取消しを求める訴えの利益は
失われないと解するのが相当である。
本件許可は,市街化調整区域内にある
本件開発区域に係るものであるから,
被上告人らは,本件許可に関する工事が完了し,
当該工事の検査済証が交付された後においても,
本件許可の取消しを求める訴えの利益を有するということができる。
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