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報道の自由と法廷における写真撮影の制限(北海タイムス事件)
(最決昭和33年2月17日)
事件番号 昭和29(秩ち)1
北海タイムス釧路支社報道部写真班員のXは、
強盗殺人事件の公判が行われた際に、
被告人が証言台に立ったときに、
裁判長の許可なく、そしてその制止を無視して、
被告人の写真を撮影しました。
裁判所は、Xのこの行為を、
法廷等の秩序維持に関する法律2条1号に
該当するものとして
1000円の過料に処しました。
(ちなみに当時の物価は
だいたいラーメン1杯35円ですので、
1000円はラーメン28.5杯ぶんです。)
これに対してミスターXは、
この処分は報道の自由を制限するものであり、
取り消されるべきであるとして争いました。
最高裁は、
「新聞が真実を報道することは
憲法21条の表現の自由に属し、
そのための取材活動も
認められなければならないことはいうまでもない」
としながら、憲法が国民に保障する自由も、
国民はこれを濫用してはならず、
常に公共の福祉のために
これを利用する責任を負うため、
その自由は無制限ではないとし、
「憲法が裁判の対審及び判決を
公開法廷で行うことを規定しているのは、
手続きを一般に公開して、
その審判が公正に行われることを保障する
趣旨にほかならないのであるから、
たとい公法廷の状況を
一般に報道するための取材活動であっても、
その活動が公法廷における審判の秩序を乱し、
被告人その他訴訟関係人の
正当な利益を不当に害するがごときものは、
もとより許されないところである」としました。
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