先取特権者による物上代位権行使
(昭和60年7月19日最高裁)
事件番号 昭和58(オ)1548
この裁判では、
先取特権者による物上代位権の行使について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
民法304条1項但書において、
先取特権者が物上代位権を行使するためには
物上代位の対象となる金銭その他の物の払渡又は
引渡前に差押をしなければならないものと規定されている趣旨は、
先取特権者のする右差押によって、
第三債務者が金銭その他の物を債務者に払い渡し又は
引き渡すことを禁止され、他方、
債務者が第三債務者から債権を取り立て又はこれを
第三者に譲渡することを禁止される結果、
物上代位の目的となる債権(以下「目的債権」という。)の特定性が保持され、
これにより、物上代位権の効力を保全せしめるとともに、
他面目的債権の弁済をした第三債務者又は目的債権を譲り受け
若しくは目的債権につき転付命令を得た第三者等が
不測の損害を被ることを防止しようとすることにあるから、
目的債権について一般債権者が差押又は
仮差押の執行をしたにすぎないときは、
その後に先取特権者が目的債権に対し
物上代位権を行使することを
妨げられるものではないと解すべきである。
これを本件についてみると、前記事実関係によれば、
一般債権者たる被上告人らは、本件転売代金債権について
仮差押の執行をしたにすぎないから、
その後に上告人が本件物上代位権を行使することは
妨げられないものというべきである。
これと異なる原審の判断には民法304条1項の解釈適用を
誤った違法があるといわざるをえない。
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