良好な景観の恵沢を享受する利益は法律上保護されるか

(平成18年3月30日最高裁)

事件番号  平成17(受)364

 

この裁判では、

良好な景観の恵沢を享受する利益は法律上保護されるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

民法上の不法行為は,

私法上の権利が侵害された場合だけではなく,

法律上保護される利益が侵害された場合にも

成立し得るものである(民法709条)が,

本件におけるように建物の建築が第三者に対する関係において

景観利益の違法な侵害となるかどうかは,

被侵害利益である景観利益の性質と内容,

当該景観の所在地の地域環境,侵害行為の態様,程度,侵害の経過等を

総合的に考察して判断すべきである。

 

そして,景観利益は,これが侵害された場合に

被侵害者の生活妨害や健康被害を

生じさせるという性質のものではないこと,

景観利益の保護は,一方において当該地域における

土地・建物の財産権に制限を加えることとなり,

その範囲・内容等をめぐって周辺の住民相互間や財産権者との間で

意見の対立が生ずることも予想されるのであるから,

景観利益の保護とこれに伴う財産権等の規制は,

第一次的には,民主的手続により定められた行政法規や

当該地域の条例等によってなされることが

予定されているものということができることなどからすれば,

ある行為が景観利益に対する違法な侵害に当たるといえるためには,

少なくとも,その侵害行為が刑罰法規や

行政法規の規制に違反するものであったり,

公序良俗違反や権利の濫用に該当するものであるなど,

侵害行為の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての

相当性を欠くことが求められると解するのが相当である。

 

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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