特例財団法人の定款の定めの変更

(平成27年12月8日最高裁)

事件番号  平成25(受)2307

 

この裁判では、

特例財団法人は,その同一性を失わせるような

根本的事項の変更に当たるか否かにかかわらず,

その定款の定めを変更することができるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

特例財団法人は,一定期間内に公益法人認定法の規定による

公益財団法人への移行の認定又は通常の一般財団法人への

移行の認可を受けなかった場合には,

上記期間の満了の日に解散したものと

みなされる(整備法44条から46条まで)ところ,

旧民法の規定に基づく財団法人の寄附行為の記載事項(旧民法37条)と

公益財団法人又は通常の一般財団法人の

定款の記載事項(一般社団・財団法人法153条等)

とは異なる部分があるから,

特例財団法人が公益財団法人又は通常の一般財団法人へ移行する場合には,

定款の変更が不可欠である。

 

また,特例財団法人が通常の一般財団法人に移行するためには,

解散するものとした場合における残余財産の額に相当する

金額を公益の目的のために支出するための計画を作成して

実施しなければならないとされるが(整備法119条1項,123条1項),

このような計画を作成するために特例財団法人の目的に係る

定款の定めを変更しなければならない場合も少なからずあり得るものと考えられる。

 

そして,整備法は,特例財団法人の定款の変更に関する

経過措置等を定めているところ,これによれば,

評議員を置く特例財団法人(以下「評議員設置特例財団法人」という。)は,

目的並びに評議員の選任及び解任の方法以外の事項に係る定款の定めについて,

評議員会の決議によってこれを変更することができるほか,

目的並びに評議員の選任及び解任の方法に係る定款の定めについても,

評議員会の決議によって,

一般社団・財団法人法200条3項の規定によることなく,

これを変更することができる旨を定款で定めることで

変更することができるとされている(一般社団・財団法人法200条1項,

整備法94条4項において読み替えて適用される一般社団・

財団法人法200条2項,整備法94条5項)。

 

また,評議員設置特例財団法人を除く特例財団法人には,

一般社団・財団法人法200条の適用がなく,

その定款に定款の変更に関する定めがある場合には,

当該定めに従い定款の変更をすることができ,

上記定めがない場合には,定款の変更に関する

定めを設ける定款の変更をした上で,

当該定めに従い定款の変更をすることができると

されている(整備法94条1項から3項まで)。

 

他方,整備法には,特例財団法人の同一性を

失わせるような根本的事項に関する定款の変更が

許されない旨を定めた規定は存在しない。

 

そうすると,特例財団法人は,所定の手続を経て,

その同一性を失わせるような

根本的事項の変更に当たるか否かにかかわらず,

その定款の定めを変更することが

できるものというべきである。

 

このように解することは,先に述べた

定款変更の必要性に沿うものであり,また,

旧民法の規定に基づく財団法人から

通常の一般財団法人への移行を

円滑かつ適切に行うための措置を定める

整備法の趣旨にも合致するものである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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