相殺適状の要件
(平成25年2月28日最高裁)
事件番号 平成23(受)2094
この裁判では、
相殺適状の要件について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
民法505条1項は,相殺適状につき,
「双方の債務が弁済期にあるとき」と
規定しているのであるから,
その文理に照らせば,
自働債権のみならず受働債権についても,
弁済期が現実に到来していることが
相殺の要件とされていると解される。
また,受働債権の債務者がいつでも
期限の利益を放棄することができることを理由に
両債権が相殺適状にあると解することは,
上記債務者が既に享受した期限の利益を
自ら遡及的に消滅させることとなって,相当でない。
したがって,既に弁済期にある自働債権と
弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには,
受働債権につき,期限の利益を
放棄することができるというだけではなく,
期限の利益の放棄又は喪失等により,
その弁済期が現実に到来していることを要するというべきである。
そして,当事者の相殺に対する期待を
保護するという民法508条の趣旨に照らせば,
同条が適用されるためには,消滅時効が援用された自働債権は
その消滅時効期間が経過する以前に受働債権と
相殺適状にあったことを要すると解される。
前記事実関係によれば,消滅時効が援用された
本件過払金返還請求権については,
上記の相殺適状時において既にその消滅時効期間が経過していたから,
本件過払金返還請求権と本件貸付金残債権との相殺に
同条は適用されず,被上告人がした相殺はその効力を有しない。
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