証券会社に説明義務違反があったか
(平成28年3月15日最高裁)
事件番号 平成26(受)2454
この裁判では、
顧客が証券会社の販売する仕組債を運用対象金融資産とする信託契約を含む
一連の取引を行った際に証券会社に説明義務違反があったかについて
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
本件仕組債の具体的な仕組み全体は必ずしも単純ではないが,
上告人Y2は,Cらに対し,D債券を本件担保債券として
本件インデックスCDS取引を行うという
本件仕組債の基本的な仕組みに加え,本件取引には,
参照組織の信用力低下等による本件インデックスCDS取引における
損失の発生,発行者の信用力低下等によるD債券の評価額の下落といった
元本を毀損するリスクがあり,最悪の場合には
拠出した元本300億円全部が毀損され,
その他に期日前に償還されるリスクがある旨の
説明をしたというべきである。
そして,Aは,消費者金融業,企業に対する投資等を目的とする会社で,
その発行株式を東京証券取引所市場第一部やロンドン証券取引所に上場し,
国際的に金融事業を行っており,本件取引について,
公認会計士及び弁護士に対し上告人Y2から
交付を受けた資料を示して意見を求めてもいた。
そうすると,Aにおいて,上記説明を理解することが
困難なものであったということはできない。
原審は,上告人Y2による前記3①から⑤までの
各事項の提示時期等を問題とする。
(【前記3①から⑤】は下記のリンクの
判例全文からご参照ください)
しかしながら,上記各事項が提示された時点において,
Aが本件取引に係る信託契約の受託者や
履行引受契約の履行引受者との間で折衝に入り,かつ,
上記事前調査の予定期間が経過していたからといって,
本件取引の実施を延期し又は取りやめることが不可能又は
著しく困難であったという事情はうかがわれない。
そして,本件仕組債が上告人Y2において
販売経験が十分とはいえない新商品であり,
Cらが金融取引についての詳しい知識を有しておらず,
本件英文書面の訳文が交付されていないことは,
国際的に金融事業を行い,本件取引について公認会計士らの意見も
求めていたAにとって上記各事項を理解する支障になるとはいえない。
したがって,上告人Y2が本件取引を行った際に
説明義務違反があったということはできない。
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