リラックス法学部 > 初学者の部屋 > 分割債務・連帯債務・不可分債権・不可分債務についてわかりやすく解説

 

 

分割債務・連帯債務

同一の給付を目的とする

一個の債権の債務者が複数いる場合、

それぞれの債務は別個の独立した債務となり、

これを分割債務といいます。

 

また、同一の給付を目的とする一個の債権の

債権者が複数いる場合分割債権といいます。

 

分割債権、分割債務は

互いに独立した別個の権利・義務して扱われ、

一人の債権者、債務者について生じた事由は、

他の債権者・債務者に影響を与えません。

 

これを相対的効力といいます。

 

抽象的な話が続き

イメージしづらかったかもしれませんが、

債権、債務を相続した場面がわかりやすいかと思います。

 

例えば、債権者ヨネヤマがマキノに対して

1000万円の債権を持ったまま亡くなり、

相続人がヨネヤマの子供4人のみの場合、

それぞれの子供が1000万円÷4人で250万円ずつ

マキノに対する債権を持っている状態、

これが分割債権のイメージです。

 

分割債務は、分割債権と同じように

ヨネヤマがマキノに

1000万円の借金をした状態で亡くなった

と考えていただければよいかと思います。

 

分割債権、分割債務いずれの場合も、

一人の債権者、債務者の行為は

他の債権者、債務者に影響を及ぼさない

という話をしましたが、

一人がマキノから250万円を回収、

あるいは弁済をしても、

他の債権者、債務者の250万円の債権、

債務は依然残ったままという具合です。

 

(分割債権及び分割債務)

第四百二十七条  

数人の債権者又は債務者がある場合において、

別段の意思表示がないときは、

各債権者又は各債務者は、

それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

 

 

不可分債権・不可分債務

不可分債権、不可分債務は

複数人が1個の不可分給付を目的とする

債権、債務のことです。

 

「不可分」とは文字どおり、

分けることができないということです。

 

例えば、物の引渡しの債権などです。

 

お金の場合はキレイに割り算でわけることができましたが、

例えば、ヨネヤマがマキノに対して

車の引渡しの債権を持ったまま亡くなった場合、

各相続人が車の引渡し債権の不可分債権を

取得することになります。

 

不可分債権の場合、

各債権者はすべての債権者のために履行を請求し、

債務者はすべての債権者のために

各債権者に履行することができます。

 

(不可分債権)

第四百二十八条  

債権の目的がその性質上又は

当事者の意思表示によって不可分である場合において、

数人の債権者があるときは、

各債権者はすべての債権者のために履行を請求し、

債務者はすべての債権者のために

各債権者に対して履行をすることができる。

 

つまり、各債権者が皆を代表して履行を請求することができ、

債務者は代表者に対して履行することができるという具合です。

 

不可分債権も原則として一人について生じた事由は、

他の債権者に影響を及ぼさない

相対効の原則がありますが、

このように履行の請求は、

債権者全員が履行の請求をしたのと

同じ効果が発生するという事です。

 

また、債務者の側も債権者の一人に履行をすると、

債権者全員に履行をしたのと

同じ効果になるということです。

 

このように他の債権者に影響を及ぼす効力を

絶対的効力といいます。

 

不可分債務においては、履行については絶対的効力が生じ、

履行以外の事由は相対的効力を有するということになります。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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