リラックス法学部 判例集 > 民法 占有の訴え(198条~203条) 判例集

 

(占有回収の訴え)

第二百条 占有者がその占有を奪われたときは、

占有回収の訴えにより、

その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。

2 占有回収の訴えは、

占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。

ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。

 

 

民法200条関連判例

・占有代理人である賃借人が

他人に任意に物の占有を移転した場合は、

たとえその移転の意思が

他人の欺罔(ぎもう・あざむき騙すこと)によって

生じたような場合であっても、

占有侵奪の事実があるとはいえず

賃借人も賃貸人も占有回収の訴えで

その回収を求める事はできない。(大判大11・11・27)

 

・賃借人Aが賃貸借の目的物の部屋を転貸して、

転借人Bを占有代理人として関節占有する場合、

BがAのために占有する意思を失い、

入室を拒んだとしても、

それだけではAの占有を奪った事にはならない。

(最判昭34・1・8)

 

・本条二項のただし書きのいう

「承継人が侵奪の事実を知っていた時」とは、

承継人が何らかの形で占有の侵奪があった事について

認識を有していた場合をいう。

占有の侵奪を単に「可能性ある事実」

として認識していただけでは足りない。

(最判昭56・3・19)

 

・悪意の占有者でも占有を侵奪する者に対して、

占有回収の訴えをもって、

占有の侵奪によって生じた

損害の賠償を請求する事ができる。

(大判大13・5・22)

 

スポンサードリンク

 

 

 

(占有の訴えの提起期間)

第二百一条 占有保持の訴えは、妨害の存する間又は

その消滅した後一年以内に提起しなければならない。

ただし、工事により占有物に損害を生じた場合において、

その工事に着手した時から一年を経過し、

又はその工事が完成したときは、これを提起することができない。

2 占有保全の訴えは、妨害の危険の存する間は、提起することができる。

この場合において、工事により占有物に

損害を生ずるおそれがあるときは、前項ただし書の規定を準用する。

3 占有回収の訴えは、

占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならない。

 

(本権の訴えとの関係)

第二百二条 占有の訴えは本権の訴えを妨げず、

また、本権の訴えは占有の訴えを妨げない。

2 占有の訴えについては、

本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない。

 

(占有権の消滅事由)

第二百三条 占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、

又は占有物の所持を失うことによって消滅する。

ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。

 

・占有者は、本条但書きにより、

占有回収の訴えを提起して勝訴し、

現実にその物の占有を回復した時は、

占有を失っていた期間も占有が継続していたと擬制される

(最判昭和44・12・2)

 

民法判例集

民法をわかりやすく解説した初学者の部屋 

試験対策・要点まとめコーナー


行政書士試験にわずか147日で合格した勉強法

行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本


スポンサードリンク

関連記事