リラックス法学部 > 判例集 >民法 取消権(119条~125条) 判例集
(無効な行為の追認)
第百十九条 無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。
ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、
新たな行為をしたものとみなす。
(取消権者)
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、
制限行為能力者又はその代理人、
承継人若しくは同意をすることができる者に限り、
取り消すことができる。
2 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、
瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、
取り消すことができる。
(取消しの効果)
第百二十一条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
ただし、制限行為能力者は、その行為によって
現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
民法121条関連判例
・相手方より受領した金銭で他者への債務を弁済し、
必要な生活費に消費した場合、利益は現存するというべきである。
(大判昭7・10・26)
・消費者である準禁治産者が受領した金員は、
反証のない限り、無益な事に消費し、
現存利益はないと推測するのが常理である。
(大判昭14・10・26)
(リラックスヨネヤマからコメント…
準禁治産者は今でいう被保佐人で
現存利益がないという事は、
つまり返還の義務を負わないという事です。
逆にひとつ前の判例は、借金の返済、
生活費に消費した場合は現存利益が
あるという事で返還の義務を負います。
この判例とあわせて考えてみますと、
被保佐人が仮に借金の返済や
必要な生活費に使ったとしても、
その事について証明されない場合は、
無益な消費として現存利益はないと推測するという事です。)
・不動産の売買契約が取り消された場合には、
原状回復のため、買主は登記手続きをする義務を負い、
売主は代金を返還する義務を負い、
両者は同時履行の関係に立つ。
(最判昭47・9・7)
(取り消すことができる行為の追認)
第百二十二条 取り消すことができる行為は、
第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。
ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。
(取消し及び追認の方法)
第百二十三条 取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、
その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。
(追認の要件)
第百二十四条 追認は、取消しの原因となっていた状況が
消滅した後にしなければ、その効力を生じない。
2 成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、
その了知をした後でなければ、追認をすることができない。
3 前二項の規定は、法定代理人又は
制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合には、適用しない。
(法定追認)
第百二十五条 前条の規定により追認をすることができる時以後に、
取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、
追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一 全部又は一部の履行
二 履行の請求
三 更改
四 担保の供与
五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六 強制執行
民法125条関連判例
・取り消す事のできる行為についての
法定追認を定めた本条の規定は、
無権代理行為の追認には類推適用されない。
(最判昭54・12・14)
(取消権の期間の制限)
第百二十六条 取消権は、追認をすることが
できる時から五年間行使しないときは、
時効によって消滅する。行為の時から
二十年を経過したときも、同様とする。
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事