リラックス法学部 > 初学者の部屋 > 第14話 無権代理をわかりやすく解説

  

無権代理とは、文字どおり代理権もないのに

代理行為を行った場合のことをいいます。

 

代理人が本人から与えられた

代理権の範囲外の行為をした場合

(「借りてこい」とは言ったが、

「買ってこい」とは言ってないだろ!

というような場合)と、

代理権がないのに代理行為を行った場合

(「誰もお前に頼んでないだろ!」

という場合)があります。

 

この場合、考えなければならないのは、

この無権代理人と取引した相手方の利益と

本人の利益です。

 

取引した相手方を保護しようと

代理行為を有効にすると

本人が不利益を被る可能性

(頼んでもいない契約を結ばされるハメになる)

がありますし、

代理行為を無効とすると、

相手方が害されます(代理人だと思って契約して、

そのつもりでいたのに「ナシよ」ではたまらない)。

 

そこで民法は無権代理について、

「表見代理」「無権代理人の責任追及」

という制度を用意しました。

 

「表見代理」は本人が代理人に

代理権を与える何らかの根拠がある場合

「無権代理人の責任追及」

は本人が代理人に対して

何らの代理権も与えていない場合

相手方が取れる選択肢です。

 

この2つの他に相手方は、

代理権がない事を知っていた場合を除き、

本人が追認しない間は契約を取消す事もできます。

 

また、相手方は本人に対して

相当の期間を定めて、

本人に追認するかどうか催告をすることもできます。

(「奴が勝手にやった事のようですが、

どうでしょう?契約しないですか?」

と本人にうながす)

本人が確答しない場合は

追認を拒絶したものとみなされます。

 

相手方が代理人に代理権が

ないことを知っていた場合でも

催告することができます。

催告して本人が追認すると、

原則として遡って有効な代理行為をしたのと

同じことになります。

 

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(無権代理の相手方の催告権)

第百十四条  前条の場合において、相手方は、

本人に対し、相当の期間を定めて

その期間内に追認をするかどうかを

確答すべき旨の催告をすることができる。

この場合において、

本人がその期間内に確答をしないときは、

追認を拒絶したものとみなす。

 

(無権代理の相手方の取消権)

第百十五条  代理権を有しない者がした契約は、

本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。

ただし、契約の時において代理権を有しないことを

相手方が知っていたときは、この限りでない。

 

(無権代理行為の追認)

第百十六条  追認は、別段の意思表示がないときは、

契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。

ただし、第三者の権利を害することはできない。

 

本人の選択肢は、

追認、追認拒絶、何もしない

というものがあります。

 

追認すると相手方から催告を受けて追認したとき同様、

遡って有効な代理行為になりますし、

追認拒絶すると、代理行為の効果は

本人に帰属しないことになります。

 

何もしない間は追認、追認拒絶できる状態が

維持されるということです。

 

本人の追認または追認拒絶は

相手方に対して行わなければ、

相手方に対抗できませんが、

無権代理人に対してした場合も、

相手方がそれを知れば相手方にそれを主張できます。

 

(無権代理)

第百十三条  

代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、

本人がその追認をしなければ、

本人に対してその効力を生じない。

 

2  追認又はその拒絶は、

相手方に対してしなければ、

その相手方に対抗することができない。

ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

 

ということで、今回は無権代理の概要について説明いたしました。

「表見代理」「無権代理人の責任追及」に関しては別の回で

説明していきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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