行政法は、法律による行政の原理を最重要としますが、

それ以外にも行政法全体に通じて妥当する

一般原則というものがあります。

 

何をもって「一般原則」というかは

学説上も必ずしも一致しませんが、

試験対策として最低限知っておくべき、

「行政法の一般原則」として

一般的に考えられているものを説明します。

 

適正手続の原則

行政活動はその内容が正しいだけでなく、

手続きも適正でなければならないという原則です。

 

憲法第三十一条は次のように規定します。

何人も、法律の定める手続によらなければ、

その生命若しくは自由を奪はれ、

又はその他の刑罰を科せられない。

 

戦後、この規定をもとに刑事手続きを中心に、

適正手続(デュープロセス)の考え方が重視され、

行政作用一般にも妥当する原理であると

考えられています。

 

信義誠実の原則

民法1条2項に次の規定があります。

 

権利の行使及び義務の履行は、

信義に従い誠実に行わなければならない。

 

これは民法の冒頭に掲げられていますが、

法律関係全般に通ずる一般原則として、

行政上の法律関係にも

その通用性が承認されています。

 

 

権利濫用の禁止の原則

民法1条3項に次の規定があります。

権利の濫用は、これを許さない。

 

この規定も民法の冒頭に掲げられた規定ですが、

行政上の法律関係にも通じる原則です。

 

許可の申請自体が権利の濫用とされる場合に

それを禁止する規定や、

行政側の認可が権利の濫用とされた判例もあります。

 

比例原則

比例原則とは、

目的と手段のバランスを要請する原則です。

不必要な規制や過剰な規制を禁止するもので、

ある目的を達成するために、

規制効果は同じであっても

規制される利益に対する制限の程度が

より少ない代替手段が存在する場合は、

当該規定は許されないとされます。

 

また、規制される者との関係だけでなく、

第三者に対する規制により利益を受ける者との関係で

行政による過少な規制を

禁止するための法理として活用されることもあると

考えられています。

 

平等原則

憲法第十四条に次の規定があります。

すべて国民は、法の下に平等であつて、

人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、

政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

この規定を根拠に行政機関が

合理的な理由がなく、

国民を不平等に扱ってはならないという原則です。

 

地方自治法第二百四十四条では、次のように規定しています。

普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、

不当な差別的取扱いをしてはならない。

 

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