リラックス法学部 >民法をわかりやすく解説 > 表見代理と無権代理人の責任追及についてわかりやすく解説
あやふやになりがちな
表見代理と無権代理人の責任について、
リラックスヨネヤマが限界まで噛み砕いて
わかりやく説明してみたいと思います。
表見代理と無権代理人の責任については、
「なんだっけ?」と
ぼんやりモヤモヤしがちなところだと思います。
今回はそのモヤモヤにくっきりと
輪郭をつけていただくための
説明していきたいと思います。
まず、表見代理と無権代理人の責任は
どちらも代理人らしき者と取引した「相手方」を守るための制度
です。
では違うところはといいますと、
本人の帰責事由の有無
です。
ここから代理人(無権代理人)の立場の
人物をAと呼ぶ事にします。
表見代理は、本人がAに対して
代理権を与える意思表示をした
何らかの根拠がある場合です。
無権代理人の責任が問題となるのは、
Aが勝手に本人の代理人を名乗って
相手方と取引した場合です。
表見代理が成立する場合、
Aが相手方とした
法律行為の効果が帰属するのは
本人で、
無権代理人の責任を追及する場合、
Aが相手方とした
法律行為の効果が帰属するのは
Aです。
どちらの場合も要件になるのは
相手方の善意無過失です。
ちなみに相手方は、
本人の帰責事由(代理権を与えたと
思ってもおかしくない事由)を主張して表見代理の
成立を主張できる場合でも、
それを主張せずに
無権代理人の責任追及をする事もできます。
(無権代理人の責任追及は、
契約の履行または損害賠償をすることができます)
例えば売買契約の場合、相手方としては、
どうしても本人に
買ってもらいたいモノだった場合は
表見代理を主張して、
本人との売買契約の有効を主張するべきですが、
そのモノが「買ってくれるなら誰でもいい」
というモノだとしたら、
本人でなくても
Aに買ってもらえばそれで解決ということで、
無権代理人の責任を追及して、
Aに買わせればよい事になります。
この時Aは「表見代理が成立するんだから、
本人に買ってもらってくれ」という
ムシのいい主張をする事はできません。
(最判昭和62・7・7の判例)
ちなみにこれには
裁判所の実務的な理由もありまして、
要は表見代理が成立するのを
立証するのはなかなか大変なのです。
無権代理という事実が明らか
(Aが代理権を証明できない)で、
相手方がAに責任を取れと主張しているなら
それで解決にしてしまえば、
裁判実務もサクサク進むのです。
表見代理、無権代理人の責任追及
どちらの制度も相手方を保護するためのものだから
相手方がそれでいいなら、解決というわけです。
最後に表見代理が成立するための要件、
無権代理人の責任を追及できる場合の
要件をまとめておきます。
すべて要件を満たした時にそれぞれ成立します。
表見代理が成立する場合
代理権の付与という虚偽の外観について、
1.本人に帰責事由がある
2.相手方が善意無過失
無権代理人の責任追及できる場合
1.本人が追認していない
2.Aが代理権を証明できない
3.代理権がないことについて相手方が善意無過失
4.Aに行為能力がある
(Aが未成年者であれば
責任追及できない事になります。)
5.相手方が取消権が行使していない。
(一度取消してから、
無権代理人にやっぱり責任取れとは言えない)
と、このように表見代理と無権代理人の
責任追及について説明して参りましたが、
それぞれの輪郭をはっきりさせる事が
できましたでしょうか。
これらの制度はその他の重要な論点もたくさんありますが、
ぼんやりしたイメージのまま
知識を詰めこんでも頭の中がゴチャゴチャで
全部がわけわからなくなってしまいますので、
まず言葉の定義や制度をひとつひとつ
キッチリさせて知識を増やしていっていただければと思います。
この文章があなたの学習の一助になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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