リラックス法学部 > 初学者の部屋 > 表見代理についてわかりやすく解説
代理人でもないのに代理人を称した者と
取引をした相手方には、
4つの取るべき手段があります。
①催告
②取消し
③無権代理人の責任追及
④表見代理の主張
今回はこのうちの
④表見代理について説明したいと思います。
表見代理とは文字どおり
「表むきは代理権があるように見える」場合ですが、
3パターンあります。
①代理権を与えていないのに、
本人が第三者に代理権を与えたと勘違いさせた場合
「与えていないのに、与えたと勘違いさせた」
という状況がイメージしにくいかもしれませんが、
例えば自営業のオヤジさんが得意先に
「店の方はぼちぼち息子に任せるんでよろしく」
というような事を言って、
息子が勝手にオヤジさんの代理人として
得意先と取引をしたものの、
オヤジは息子に代理権を与える気は
なかったというような場合です。
②代理権を与えたが、
その代理権を超えて代理行為を行った場合
「借りてこいとは言ったが、
買ってこいとは言ってないだろ!」
というような場合です。
③代理権を与えたが、それが消滅(契約終了)した後に、
代理行為を行った場合
民法の条文では109条、110条、112条に
規定されています。
(代理権授与の表示による表見代理)
第百九条
第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、
その代理権の範囲内においてその他人が
第三者との間でした行為について、その責任を負う。
ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、
又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
(権限外の行為の表見代理)
第百十条 前条本文の規定は、
代理人がその権限外の行為をした場合において、
第三者が代理人の権限があると
信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
(代理権消滅後の表見代理)
第百十二条
代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。
ただし、第三者が過失によって
その事実を知らなかったときは、この限りでない。
相手方が表見代理を主張すると、
代理行為の効果は本人に帰属し、
本人はこれを拒むことはできません。
表見代理を主張するためには、
相手方の善意無過失が必要です。
ここで、整理すると、
無権代理の際に、
相手方は4つの手段があるといいました。
①催告
②取消し
③無権代理人の責任追及
④表見代理の主張
相手方はこの中から選んで行使できます。
③、④は相手方が善意無過失の場合に
主張することができます。
善意無過失であれば相手方は
表見代理を主張して、
本人との契約を成立させるか、
無権代理人の責任を追及して、
無権代理人に詰め腹を切らせるか、
自分にメリットが大きい方を選んで行使できるわけです。
(表見代理を証明するより無権代理人に責任を
追及する方が簡単ですが、
どうしても本人に買ってもらいたいものや、
無権代理人の財力的に事実上無権代理人が
買えないだろうと思われる場合は
大変でも表見代理を主張すべきといった感じです)
相手方が代理権の存在について善意だが、過失があった場合
つまり代理人に権限がないと知らなかったけど、
「注意してれば気づいてもいいだろ」
という場合は
選択肢は①催告②取消し
の2つになります。
相手方が代理権の存在について悪意だった場合は、
つまり無権代理人と知っていて行為をした場合は
①催告
のみができます。
催告は本人に相当の期間を定めて
「代理人はニセモノでしたが、契約しません?」 と
おうかがいを立てて、期間内に本人が追認をすれば
代理行為ははじめから有効なものとなり、
相当の期間内に返事がない場合は
追認拒絶とみなされます。
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