リラックス法学部 >民法をわかりやすく解説 >質権とは?わかりやすく解説
今回は担保物件のひとつ質権の概要について
説明していきたいと思います。
(質権の内容)
第三百四十二条
質権者は、その債権の担保として債務者又は
第三者から受け取った物を占有し、
かつ、その物について他の債権者に先立って
自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
質権とは、債務者から、
いわゆる借金のカタを預かるというものです。
質屋さんをイメージしていただければ、
わかりやすいかと思います。
ただし注意が必要なのは、
質屋さんは質屋営業法という法律に基いての質権ですので、
民法の規定する質権とイコールではありません。
例えば、質屋さんは債務者が弁済しない場合は
質物を自分のものとすることができますが、
民法ではこれを禁止しています。
(流質契約の禁止)
でも、まあ、質屋さんをイメージして
質権を学習していただければと思います。
(質権の目的)
第三百四十三条
質権は、譲り渡すことができない物を
その目的とすることができない。
この条文の表現とは逆ですが、
譲り渡すことができるものには
質権を設定することができます。
つまり動産以外にも、
不動産や債権に質権を設定することも可能です。
動産に質権を設定した場合は、質権者はその動産を
使用・収益することはできません。
これに対して不動産に質権を設定した場合は、
目的物を使用収益することができます。
(不動産質権者による使用及び収益)
第三百五十六条
不動産質権者は、
質権の目的である不動産の用法に従い、
その使用及び収益をすることができる。
そして不動産質権の場合は
存続期間の規定がありますのでご確認ください。
(不動産質権の存続期間)
第三百六十条
不動産質権の存続期間は、
十年を超えることができない。
設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、
その期間は、十年とする。
2 不動産質権の設定は、更新することができる。
ただし、その存続期間は、
更新の時から十年を超えることができない。
権利(債権)に質権を設定する場合は、
通常の指名債権、株式、公社債などが
対象になります。
こちらは権利ですので、留置的効力はありません。
効力は優先弁済権が中心です。
建物に抵当権を設定する場合にあわせて
火災保険の保険請求権に
質権を設定しておく例などが多いです。
(抵当権には物上代位性があるので、
理論上、保険請求権に
物上代位することができるのですが、
こちらの方が保険証券を予め預かったり、
電子記録に記録することでより確実になるので)
という事で、今回は担保物件のひとつ質権の概要について説明してまいりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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