リラックス法学部 >民事訴訟法・民事執行法・民事保全法をわかりやすく解説 >民事訴訟法 弁論主義についてわかりやすく解説
弁論主義
弁論主義とは、通説によると、
訴訟資料の収集・提出を、
当事者の権能および責任とする建前のことをいいます。
これだけでは抽象的でわかりづらいかもしれませんが、
具体的に3つの内容に分けて考えられますので、
ひとつひとつわかりやすく説明していきます。
弁論主義の第一テーゼ
当事者が主張しない事実を判決の資料として採用してはならない
例えば、時効は当事者が時効の援用をしなければ、
裁判所はこれによって裁判することができない
という規定が民法にあります。
裁判所から見て、
明らかに時効が成立しているとわかるケースでも、
当事者が時効の援用を主張していない場合は、
裁判所は時効を判決の資料にすることは
できなくなります。
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弁論主義の第二テーゼ
自白の拘束力
裁判所は、当事者間に争いのない事実は
そのまま判断の基礎としなければならない
というものです。
例えば、貸金返還請求訴訟で被告が、
「たしかにお金を借りましたが、
お金に困っていて返せませんでした」
という主張をした場合、
金銭の授受と返還約束の全面自白が成立し、
口頭弁論は終了し、原告勝訴となります。
このように自白は
裁判所を拘束することになります。
裁判所は証拠調べなどから
「お金は借りていないのでは?」
あるいは
「返済済では?」
と思ったとしても、自白が成立し、
当事者間に争いのない事実ですので
これに反する判決を言い渡すことができません。
これが自白の拘束力です。
つまり民事訴訟制度は、
「真実の発見の場」ではなく、
「紛争の解決の場」が
主目的であるということです。
弁論主義の第三のテーゼ
職権証拠調べの禁止
当事者間に争いのある事実を認定の基礎となる証拠は、
当事者が申し出たものでなければならないというものです。
裁判所が積極的に証拠調べに乗り出すと、
どちらか一方に有利な証拠を
つかみ、結果的に公平性を欠くことになりかねないので、
証拠は当事者が申し出たものに限られます。
職権探知主義
例外的に、弁論主義の反対概念の
職権探知主義が採用される場合があります。
専属管轄や訴訟能力の有無など、
公益性の高い訴訟要件についてです。
これらに関しては、
裁判所が職権で証拠調べをすることができます。
これらはもともと公の問題で、
どちらかに肩入れするという
こともありませんし、
むしろ私人に発動権を任せることはできないということです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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